「ちょっと!ゾロ!!あんた一人で勝手に行ってんじゃないわよ!!!」


久しぶりに華やかな町のある島に着いた。
他の船員はみな各々の買出しに出かけている。
ナミは紙やペンの補充と、みかんの木の手入れに必要な肥料と道具を買うために町に出てきた。
荷物持ちを従えて。

 「うるせぇな。要るモンは全部買ったんだろーが。もう十分だろ。」
荷物持ち・ゾロは、大きな紙袋と肥料を抱えて、嫌そうな顔で振り向く。
 「何よ!あんた一人じゃ船にも帰れないでしょ!迷子剣士!!」
 「何だとコラ!」

ゾロは歩くのが早い。
あんなに大荷物を抱えてるくせに、いつもと同じペースで歩く。
人ごみの中、ナミも早足で歩くのだが、
どうしてもゾロの1、2歩後ろあたりになってしまう。

 「サンジくんなら、私の歩幅に合わせてくれるのに」
 「そうかよ、じゃクソコックと来ればよかったな」
サンジの名を出すと、ゾロは少し不機嫌になる。
 「何それ、やきもち?」
からかうように言うと、顔色一つ変えずに、アホか、と返ってくる。
そしてさらに2人の歩幅に差が生じる。

 少しはやきもちくらい焼きなさいよ、バカ!!

心の中で呟いて、ナミは歩く速度を落とす。
2人の間にどんどん距離ができる。

この男は、このまま私がどっかにいっても、気にしないんだろうな。
私が勝手に怒ってるって思って、そのまま船に向かうんだろう。
でも結局迷子になって私が探しに来るんだ。
絶対そうだ。
迷子剣士だもん。

呪いのように迷子迷子と呟きながら、ナミは足を止めた。
そして、ゾロの姿が、人ごみの中に消えた。

ふーんだ、夜まで迷子になってればいいわ。
そう思って、ナミはちょうど横にあった露店にしゃがみこんだ。
あ、このバングルきれい。
などとおもいつつ、1つ2つ持ち上げる。
買おうかどうか迷ったが、結局止めた。
もう買い物する気が起きなかった。
 「・・・船に戻るかー・・・」
そう思って立ち上がり、さっきまで進んでいた方向へと足を向ける。
 「・・・・・あれ?」
数m前方に、見慣れた緑頭。
荷物を地面に置き、街灯に寄りかかって不機嫌丸出しの顔のゾロがそこにいた。
 「あんた何やってんの?」
 「そりゃこっちのセリフだ」
ちょっと嬉しくなって、ゾロの傍まで走って行った。
 「買わねぇのか?」
 「何、あんた見てたの?ていうかそこからよく見えたわね」
 「買わねぇんなら行くぞ」
 「はいはい」


結局待っててくれるのね。
優しい剣豪さん。


 「あんた私のことかなり好きでしょ」
うるせぇ、と呟いたゾロの隣を、ナミはゆっくり歩いた。


ナミさんの大分先を歩いてる剣豪が、
ナミさんが立ち止まったら、すぐに気づいて待っててくれて、
そのうち隣同士になってる、
っていう夢を見たんです。
それだけ。
・・・・・文才ゼロでーす(開き直り)。

2004/11/10

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