過去拍手・其の二十四 (2007/09/01〜2007/09/30)

交錯する想いで10のお題 6〜10



06:二つの視線、一つの動揺


「ロビンってゾロのこと好きでしょ?」
「……なぁに、突然?」
「前から思ってたんだけど」


前甲板に大きなパラソルと丸テーブルを持ち出して、
ナミとロビンはサンジ特製午後のドリンクを味わっていた。
それぞれ前の島で手に入れた新しい本を読みながら、
時折甲板で騒いでいるルフィたちを見下ろしては目を見合わせて笑う。

そんな中でナミが突然、ロビンに対して「ゾロが好きなのか」と尋ねた。
ロビンは分厚い本のページをめくる手を止めてナミの顔をじっと見る。

「別に隠すことでもないでしょ?」
「……えぇ、そうね……好きよ」
「やっぱり」

ロビンの答えに、ナミは満足気に笑った。
パタンと本を閉じたロビンが「どうして分かったの?」と聞くと、
ナミも同じように本を閉じてテーブルに置いた。

「だって私も同じだから」
「……そうね、あなたもそうだものね」
「あ、ロビンも気づいてた?」
「えぇ」
「そうよね、気付くわよね」
「えぇ…」
「気付かないのはあの鈍感剣士くらいよね」
「本当ね」

そう言って2人はクスクスと笑った。
それと同時に、ガコンと大きな音が甲板に届く。
2人が目をやると、倉庫から大きなダンベルを抱えたゾロが現れた。
「噂をすれば」と笑ってナミは大きな声でゾロを呼んだ。
顔を上げたゾロは面倒くさそうな顔をしながらも、
2度目にナミに呼ばれて渋々と2人の方へと向かってきた。

「何だよ」
「あのさぁゾロ」
「おぅ」
「私たちね……」
「早く言え」

焦らすようなナミの喋り方に、ゾロは少しイラついたように先を急かした。
だがナミは気にせず、ロビンと視線を交わすと魔女の笑みを見せる。

「あんたのことが好きよ」
「………は?」
「聞こえた?」

ナミは小首をかしげて、上目遣いでゾロを見上げる。
ゾロは意味が分からず、だがナミは相変わらず魔女の笑みを見せたままなので、
ロビンへと視線を移す。

「おい、こいつ暑さで頭でも沸いたか?」
「いいえ、事実を述べたまでよ」
「……あぁ?」

美女2人に笑顔を向けられて、サンジであればクルクルと回って溶けてしまいそうな状況だが、
ゾロは眉間に皺を寄せて立ち尽くす。

「あなたのことが好きなの、仲間としてではなく、ね」
「私もよ」
「………」

2人の言葉の後数秒の沈黙を置いて、ゾロは決まり悪そうにボリボリと頭をかいた。

「……人をからかって遊んでんじゃねぇぞ」

そう言い残して、くるりと向きを変え階段を下りて甲板へと戻っていった。


「……耳、赤かったわね」
「ね」
「かわいい人」
「本当」


この日のゾロは、夕食も食べずにひたすらダンベルを振り回していたという。

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ナミ→ゾロ←ロビンです。
モテゾロ希望。
総受のような総攻希望。
次はサナゾ。


07:右頬にキスを、左頬にキスを、じゃあ口唇は?


だってどちらも大好きなんだもの。
選ぶなんて無理に決まってる。

柔らかい言葉と、熱い抱擁。
優しい慰めと、強い支え。
無償の愛と、まっすぐな愛。

彼は私をいつでも女として扱ってくれて、全力で守ろうとしてくれる。
彼はいつでも私を対等に見てくれて、信じてくれている。

それらはとても心地がいいし、幸せだと思える。
だからどちらも選べない。


2人が同じように私に愛を注いでくれるなら、私も同じように2人に愛を捧げよう。
右の頬は優しい彼のために。
左の頬は不器用な彼のために。

彼らの愛を受け止めよう。
そして私は口唇で、彼らに愛を返すのだ。

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サナゾだぜ。
ナミさんはどっちも好きという罪なお人(笑)。
次はルナミ前提で、サンジ→ナミ←ゾロ!


08:守るためなら共同戦線だって張りましょう


甲板に置いたデッキチェアに寝転んだナミの傍らで、
ルフィが本日のおやつを口いっぱいに頬張っている。
頬を目一杯に膨らませ、それから口にしたコーヒーの熱さに驚いて声を上げた。
隣のナミはクスクスと笑いながらルフィの顔を覗き込み、火傷はしてないわよと微笑んだ。

キッチンの前でゾロとサンジはそれを見下ろしていた。
2人とも同じように片手にカップを持ち、片腕を手すりに乗せて寄りかかっている。
ズズズ…と熱いコーヒーをすすりながら、サンジはポツリと呟いた。

「いい笑顔だよなぁ…」
「………」
「やっぱかわいいよなぁ…」
「………」
「好きだなぁ…」
「………」
「……何か言えよ」

無言で隣に立つ男をサンジは呆れ半分で睨んだ。
だがゾロは気にせずコーヒーをすすり、興味無さげに返事をする。

「何を」
「そうだな、とか」
「そうだな」
「……お前に会話のキャッチボールを求めたのが間違いだったな」

棒読みのセリフを返されてしまったサンジは肩をすくめてまたコーヒーをすすり甲板を見下ろす。
その姿を横目でちらりと見たゾロは、カップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。

「…そんなに好きってんなら奪えばいいだろ」
「……おれだって出来るモンならそうしてぇよ」
「ふん」
「でもなぁ」

ギロリとゾロを睨んだあと、サンジは再び甲板に目をやって小さな溜息をつく。

「いい笑顔なんだよ」

優しい声色でそう呟いたサンジと同じように、ゾロも甲板のナミを見つめた。

「好きな男の隣に居るレディの笑顔ほど美しいものなんて無いんだぜ」
「…あっそ」
「だからそれを奪うんじゃなくて、守るんだよ」
「……ま、てめぇがそれで満足ならいいんじゃねぇの」
「お前だって人のこと言えねぇだろ」
「………」

サンジはそう言ってゾロを見る。
一瞬だけ目を合わせてゾロはすぐに甲板に視線を戻した。

「妙な真似すんなよ、ゾロ」
「誰に向かって言ってんだ」
「…ま、てめぇもその辺は分かってっだろうから心配はしてねぇよ」
「…ふん」

フンとサンジは笑って、ゾロと同じくコーヒーを飲み干した。

「いい笑顔だよなぁ…」
「……あぁ」

=============================================
ルナミ前提で、サンジ→ナミ←ゾロ。
今回はゾロも報われない。
次はロビン総受け?


09:愛されてる自覚のない姫君


「ロビンが好き?」と尋ねれば、麦わらのクルーは決まって「大好き!」と答えた。
ナミに連れまわされてクルー一人一人から同じ答えを聞いて、
きょとんと目を丸くしていたロビンは、
そのままナミに再び腕をひっぱられて次のクルーの所へと連れていかれた。

クルー最後にその質問を受けたのは、筋トレ中の剣士だった。
ナミから同じ質問をされたゾロは、何となく顔を赤らめて肯定した。

「………」
「…何で怒ってんだよ、てめぇが聞いたんだろうが!」
「うるさいわね、微妙な女心よ!」

ナミはそう言って、くるりと向きを変えロビンを見つめた。

「とにかくロビン、分かった?」

ナミはロビンの顔をまっすぐ見つめ、それから微笑んだ。
ふわりとロビンの首に腕を回して、ぎゅうと抱きつく。

「ロビンが大好きよ」
「……」
「みんなみんな、ロビンのことが大好きで大好きで、どうしようもないんだから」
「……」
「忘れないで」

優しく諭すようにそう言われ、ロビンはそっとナミの背中に手を回した。
ちらりとゾロに目をやると、ゾロは片眉を上げてはいたが口元は笑っていた。
ロビンはそれに小さく笑顔を返し、それから目を閉じた。


「………ありがとう」

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ロビンちゃん総受け。
チヤホヤしてあげたくなるんです、ロビンちゃん。
あれ、三角関係は?(笑)。
まぁゾロナミうっすら入ってるし、ね…。
次はゾロサンゾロありのサナゾ!


10:この均衡を崩したい


「ねぇ2人とも」
「あ?」
「何ですか?」
「私のこと好き?」

2人はきょとんとして、それからコックはいつものようにヘラリと顔を崩して『もちろん!』と答えた。
一方剣士の方は、気恥ずかしいのか小さな声で『おぉ』と答えた。

コックは優雅な手つきでカップに紅茶を注いで、
剣士は当たり前のようにそれを受け取って口に運ぶ。
もちろんそれよりも先に私の手の中には美味しい紅茶のカップがおさまっている。
3人で過ごす静かなこの時間が、私は大好きだ。

目の前にいる2人の男をまじまじと見つめていると、目が合った2人は笑顔を返してくれる。
一人は極上の笑顔、もう一人は滅多に見せない貴重な笑顔。
いい男2人に愛されて、きっと私は幸せな女の部類に入るのだろう。

「ねぇ、それじゃあ」

私はにっこりと微笑んで(この笑顔を見せれば2人が頬を染めると知っている)、
2人に向かって両の人差し指を出した。

「私と、どっちが好き?」

2人の顔を見ながら、2人の顔を指差しながら。

2人は目を丸くして、それからちらりと目を見合わせた。
ほら、こういうの。
そうして2人は同時に口を開く。

「当然ナミさん」
「当然お前」

キレイにハモったあとで、2人は片眉を上げながら睨むようにまた目を合わせた。


3人で愛を語ればそこには色んな形が出来るけど、
それは今の私たちにとってきっと一番いいバランスを保っている。
だけど時々。
それを崩してみたいと思うのは。
私のワガママなのかしら。

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ゾロサンゾロありきのサナゾ。
ちょっとジェラったナミさんでした。
ゾロサンかな、サンゾロかな、両方かな(笑)。

これにて三角関係お題終了〜。


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