過去拍手・其の二十三 (2007/06/01〜2007/08/31)

交錯する想いで10のお題 1〜5



01:君はどちらを見ている…?


「ルフィ」

船長の傍にいるとき、君は本当に心からの眩しい笑顔を見せる。

「ゾロ」

剣士といるとき、君は少女のような可愛い笑顔を見せる。


『女』としての君の笑顔は、果たしてどちらに向けられているのだろうか?
剣士か船長か、それとも両方?

どちらにしても、おれには向けられないその笑みと、
無意識に他の立ち入りを許さない3人の絆に、
おれは嫉妬することしかできないのです。

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ルナゾ+サンジくん。
結局報われないサンジくん(愛)。
次はルナミ←サンジ。


02:優しいのは君、放っておけないのは貴方


見張り交替の時間になって、サンジはゆっくりと目を開いて体を起こした。
眠っているルフィとロビンを起こさないように、静かに腕を上げて伸びをして毛布から抜け出る。

青キジとの戦いの夜はクルーは全員このラウンジで寝ていたが、
2日目の夜は、サンジ以外はみなそれぞれの部屋に戻っていた。
(サンジはルフィとロビンを2人きりで寝かせることが気に食わなかったのだ)
既にルフィの容態はかなりよくなり、ここで看病する必要も無いように思えたが、
船医チョッパーの命によりいまだラウンジで眠っている。

サンジは暗闇の中で目をこらし、ルフィとロビンの様子を伺った。
そして気付く。
ルフィの枕元、暗がりの中にぼんやりと人影が見える。

「……ナミ、さん?」
小さく声をかけると、ナミはゆっくり振りかえった。
「……ごめん、起こしちゃった?」
「いや、見張り交替の時間だから。大丈夫だよ」
「そっか」
ナミは笑って、また顔をルフィへと戻した。
「ナミさん…寝てないの?」
「そうじゃないけど、やっぱり気になっちゃって」
「大丈夫だよ、氷もちゃんと綺麗に溶けたし、異常があればすぐに気付くから」
「そうなんだけど…ね」

小さくそう答えて、ナミはルフィの目にかかっている黒髪にそっと触れて、横によけてやった。
固く瞳の閉じられたその寝顔を見つめ、
時折ロビンの方へ顔を向けてその胸が上下しているのを確認して、
安心したようにまたルフィへと視線を戻す。

「……そんなに心配しなくても、化物船長なんだから大丈夫さ」
「そう、だけど」
「ナミさんこそしっかり寝ないと」
「うん」
「風邪引いちゃうよ」
「うん」
「ナミさん」
「ありがとうサンジくん、優しいね」
「………」

ナミはチラリとサンジを見て、微笑んだ。
その優しい笑顔にサンジは何も返事ができなかった。
ナミは構わず、ルフィの頭に撫でるように触れながら小さな声で呟く。

「ほっとけないのよ」
「……」
「ほっといたらコイツ、一人でどうかなっちゃいそうなんだもん」
「……」
「あんなの相手に一人で戦って、全身凍らされて、もしかしたらそのまま砕かれてたかもしれないのに」
「…コイツはルフィだぜナミさん、そう簡単にゃヤラれやしないさ」
「分かってる、でも」

目を伏せて、さらに声を潜めてナミは答えた。

「ほっとけないの」
「………」

サンジは、愛しい航海士が自分と同じ色の視線で船長を見守るのを、黙って見つめていた。
毛布を外して立ち上がり、ルフィの枕元にしゃがみこんでその鼻の頭を軽くはじく。
「さっさと起きろ、クソ船長」
「こら、サンジくん」
ナミがわざとらしく眉を寄せてそう言うと、サンジは毛布を優しくナミの肩にかけながら笑った。
「男の見苦しい嫉妬をお許し下さい」
「……もう」

立ち上がったサンジは、足音を抑えながら扉へと向かった。
「サンジくん」
「はい?」
その声に、少しだけ扉を開けてサンジは振り返る。
「サンジくんのことも、好きよ」
ナミは小さな声でそう告げた。


貴女が優しさを求めるなら、おれは無限のそれを差し上げましょう。


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報われないサンジくんが大好きなんだってば。
次はゾロサン+ナミ!


03:分かってても邪魔したくなる


喧嘩ばかりしているくせに。
いざとなったら、言葉を交わすこともなく通じ合って力を合わせる。
その間に入りたくても入れない。
惹かれ合う2人の間にずかずかと割って入るほど、野暮な人間にはなりたくない。

だけど、だけど時々。

すっごくムカつくのよ。


「何でゾロなの?」
「へ?」
「何でサンジくんなの?」
「……何だ急に…」
深夜のキッチンで、唐突にそう尋ねた。
サンジくんは皿を洗う手を止め、ゾロは傾けていた酒瓶をテーブルに置いた。
「目の前にこーんなイイ女がいるっていうのに」
「「…………」」
テーブルに片肘をついて手に顎を乗せ、もう片方の手でワイングラスを揺らしながら、
2人の顔を代わる代わる見る。
ゾロとサンジくんは、困ったように顔を見合わせた。

ほら、そういうのが妬けるのよ。

「何でと言われましても……」
「………」
「何よ! 答えられないの!?」
「…ナミ、お前酔ってんのか?」
「何ですって? 私がワイン5本程度で酔うわけないでしょ?」
「いつのまにそんなに飲みやがった!? おれにも寄越せよ!」
「うっさい! 私のお酒よ!」
ゾロは不服そうな顔のまま、持っていた酒瓶に口をつけた。

「ナミさん、とりあえず今日はもうやめようね?」
ゾロとは違い優しい声色でサンジくんが腕を伸ばしてきたが、さっと避ける。
そのままグラスを傾けて、残っていたワインを一気に飲み干した。
さらに新しい瓶に手を伸ばそうとしたら、ゾロが溜息をついて立ち上がった。
「ナミ、いい加減にしとけ」
その太い腕で両の手首を掴まれて、暴れてもびくともしない逞しさにまた少しムカついた。
結局グラスも瓶も取り上げられてしまい抗議の声を上げると、
眉間に皺を寄せたゾロが、ダダをこねる子供に向けるような目で見てきたので、
悔しいから迷子迷子と連呼してやった。
「全く…今日は珍しい酔い方してんな…」
ゾロが溜息をつきながらサンジくんにグラスを渡そうと顔をそちらに向けた矢先。
立ち上がり、鍛えられた太い首に腕をからめて思い切り抱きついた。
「…おい」
「…ナ、ナミさーん…?」
「サンジくんやめて、私にしなよ」
「………」

ゾロは何も答えず、だけど私の腰に手をまわしてくることもなかった。
ゾロの肩越しにサンジくんの方を見ると、
傷ついたような困ったような、複雑な表情で立ち尽くしているサンジくんと目が合った。
ごめんね。
だけど謝ってなんかやらない。

ゾロが私を選ばないことを私は知っているし、サンジくんも知っている。
2人の間になんて入れないことを、私は知っている。
だけどそれでも、時々邪魔をしたくなるのだ。

女の気まぐれと思って、諦めなさい。


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ゾロサン(ゾロ)にナミさんが絡む話が好きなんだー。
それでいてゾロナミとかね。
(やっぱり報われないサンジくん)(笑)。
次はサナゾ!


04:耳を擽る二つの告白


意識が浮上してきて、自分がどこにいるのかとふと考えた。

ぼんやりとした頭で、ここはキッチンで、日誌を書いている途中で転寝したのだと思い出す。
それでもテーブルの上で組んだ腕を枕にしたまま起き上がることが出来ず、
少しばかり開いた瞼をまた閉じて、夢と現の境をふらふらとする。
それが何だか心地良くて、このままここで朝まで眠ってもいいかなと思い始めた。
普段なら、疲れを取るためにも出来る限りきちんとベッドで眠るようにしているのだが、
今日は特別気持ちがいい。

それからどれほどの時間が経ったのか。
微かな足音で再び意識が現実に連れ戻された。
気を遣っているのか、足音の主がゆっくりと音を立てずに近づいてくるのが感じられる。
起きようかとも思ったが、相変わらず夢心地だったため目を閉じたまま放っておいた。
足音は椅子の隣で止まり、優しい手が髪に触れてきた。
「ナミさん」
小さく呼ばれて、耳に心地良いその声に思わず微笑んだが彼が気付いたかは分からない。
「風邪引いちゃうよ」
同時に、彼のスーツが肩にかけられる。
「ナミさん」
その声に応えたかったが、我慢した。
何となく、まだ自分は寝ていると思わせたかった。
彼はその後何も言わず、ただしばらく私の髪を撫でて、静かにキッチンから出て行った。

それから数分か、それとも数時間経った頃か。
再び足音を耳にして意識が戻る。
先程よりも無遠慮な、だがそれでも精一杯気を遣ったと思われる足音。
その顔を想像して、何となく頬が緩んだ。
椅子の隣で立ち止まった男の視線を痛いほどに感じる。
「ナミ」
どくりと血が熱くなる。
「ナミ」
この男に名前を呼ばれるのは、キライじゃない。
「風邪引くぞ、起きろ」
そう言いながら、男は肩からずり落ちていたらしいスーツをかけなおしてくれた。
素肌に男の指が一瞬触れて、その部分だけが熱を持つ。
それでも、私は目を開けない。
「ナミ」
男は私の頬にかかった髪を耳にかけて、それからそっと触れてくる。
瞳は開けない。
私は、眠っているのだ。
男の指は、撫でるように頬を滑った後、離れていった。


心地良い声。
心地良い指。
だから私は、この2人に甘えている。
わがままだとは、分かっているけど。


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サンジ→ナミ←ゾロ風味で。
ナミさんってば罪なお人。
次はサナゾ+ルフィ。


05:好敵手はお前だけで充分


「あーナミさんかわいーなーもーヤバいなもー好きだなーーー」
「頭でも沸いたか、クソコック」
「うっせぇ!!」
キッチンの前の手すりに寄りかかって、サンジは甲板で本を読むナミの姿を見下ろしていた。
後甲板からキッチンへとやってきたゾロは、冷めた目でサンジを見る。
「沸いてんのはいつもの事だな」
「ンだとコルァ!!!」
2人が睨み合っていると、呑気な声が割って入った。

「なぁサンジ、お前ナミが好きなのかー?」
頭の後ろで手を組んで、ルフィは笑いながらそう尋ねた。
「あぁ、好きだ! 好きだナミさーん!」
「でもゾロとかウソップとかチョッパーのことも、好きだろ?」
「あのなぁ…お前の言ってる『好き』とは違うんだよ」
「どう違うんだよ」
「どうって…」
いざそんな質問を、しかもルフィからされてしまうとどう答えていいか分からず、
サンジは思わずゾロの顔を見た。
だがゾロは片眉を上げただけで助け舟を出してはくれなかった。

「うーむ、そうだな…ナミさんを見てるとだなぁ、
 こう心がフワフワしてポヤーっとして幸せな気分になって…
 かと思えば何だか苦しくなってでもそれでもやっぱり幸せで……
 抱き締めたいとかキスしたいとかあと色々色々色々したいとか………
 とにかくお前の言ってる『好き』とは違う」
「………」
サンジの答えに、ルフィは無言で珍しく何か考えているような顔を見せる。
「どうした、ルフィ」
気付いたゾロが声をかけると、ルフィはにししと笑った。

「それならおれも同じだ!」
「「……は?」
「おれもナミ見てると、そんな感じだ!」
「「…………は?」」
ゾロとサンジは揃って間抜けな声を上げる。
「なぁなぁ、これって普通の『好き』とは違うって事なんだろ?」
「………」
「サンジ?」
妙にキラキラした目のルフィをじっと見つめた後、サンジはふーーっと長く煙草の煙を吐いた。
「いや…それは普通の『好き』だな…ウソップとかチョッパーとかクソ剣士とかと同じ『好き』だ…」
「なーんだ、やっぱりそうなのかー」
ルフィはあっさりと答えて、興味が無くなったのかさっさと甲板に駆けて行き、
先程から暴れてナミから叱られているウソップたちと合流した。

そのルフィの動きを眺めたあと、ゾロはサンジに視線を移した。
「……何考えてんだ、クソコック?」
「べーつに」
ふんと鼻を鳴らして、サンジはキッチンへと足を戻した。


「ライバルなんざ、お前一人で充分だ」


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サンジ→ナミ←ゾロで、ルフィ→ナミ風味。
最後のセリフはサンジくんですけど、ゾロでもいいね!(後付け)


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