過去拍手・其の二十二 (2007/05/01〜2007/05/31)

初歩的恋愛で10のお題 6〜10


06:君の傍だと心臓が歌ってるみたいで


あの女が笑う。
あの女がこっちを見る。
あの女がおれの名を呼ぶ。
あの女がおれの隣に立つ。
あの女がおれの体に触れる。
そうすると不思議なことに、
激しいトレーニングをした後とは違う心臓の高鳴りに襲われる。
それは女の名を呼ぶときも同じだった。


「ゾロ」

眼を開けると、その女が仁王立ちで立っていた。

「あんたまだ寝てるの? ヒマならそのへん掃除でもしたら?」
「……」
「…聞いてる、ゾロ? 目開けたまま寝てんの?」

じっと見つめたままで返事をしないでいると、女はしゃがみこんで顔を覗き込んできた。
ドクドクと心臓が悲鳴を上げそうになる。

「ナミ」

さらにそれは跳ね上がる。

「何よ」
「…心臓がおかしいんだ」
「……え?」
「心臓が」
「……調子悪いの? チョッパー呼ぶ?」
「お前のせいで」
「は?」

女は眉を寄せて、首をかしげる。

「お前のせいで、脈が早くなる」
「…………え」
「どうにかしろ」

一瞬呆けた女は、すぐに耳まで真っ赤になって立ち上がった。

「な、何言ってんのよバカ!!!」

そう叫んで逃げるように倉庫の方へ消えて行った。

「………」


結局解決策も無いまま今でも相変わらず、
あの女のことを考えるとおれの心臓は歌っている。


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恋愛お題後半戦。
ゾロ→ナミな感じなんだけどどうだろう(聞くな)。


07:優しい世界、嬉しい温度


世界は、常に貴方に甘くはないかもしれない。
冷たくされ罵声を投げかけられ、
理由無き暴力で傷つき血を流したこともあったでしょう。
自分が何故生まれたのか何のために生きているのか、
その意味があるのか否かを自問したこともあったでしょう。

でも貴方の世界はいつも優しい。

貴方が其処に居て、
貴方が其処で笑っている。

ただそれだけで、
私の世界も優しくなるのです。


どうか忘れないで。

貴方が今生きて此処にいる。
貴方の体温を感じることができる。
抱き締めればその腕が抱き締め返してくれる。

貴方がくれる優しい世界。
貴方がくれる嬉しい温度。

その全てに

私は感謝します。


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意味不明かな?
通じてる?
イメージはチョパに対しての言葉なんですが。


08:その言葉の続きを期待してるよ?


「ねーーぇ、ゾロ」
「んー………」

隣でまどろむ男に、ナミは声をかけた。
返事はするものの意識はおそらく無いだろう。
閉じた瞼を動かす気配も無いし、
ぼんやりとした声を上げたあとはまた静かな寝息を出すだけになった。

「ゾローーー」
「……んー」

名前を呼ぶと条件反射なのか、相変わらず律儀な返事だけは寄越してくる。

「私のこと好き?」
「……んーー……」

聞こえているのか、それともやはり聞こえていないのか。
微妙な返事をした男はやはり目を開けない。
鼻をつまんでみると、しばらくして男の目が片方うっすらと開いた。

「あにすんだ……」

それだけ言ってナミの手を払いのけ、また眼を閉じる。

「ゾロ」
「あー…」

眼を閉じたまま、それでも先程よりははっきりした声が返ってきた。

「ゾロは私のこと好き?」
「あー……」
「好きなら、今から言う言葉繰り返してね」
「あー……」
「『おれは』」
「おれは……」
「『お前が』」
「お前が……」
「『好きだ』っ!」
「す――」

途端、男はバチっと目を開けた。

「……何言わす気だ」
「残念」
「あぶねぇあぶねぇ…」

男はそう言いながら、シーツを頭までずり上げてナミに背を向け再び目を閉じる。

「言ってくれてもいいじゃない」
「……ンな簡単に言えるか」
「…照れ屋さん」
「誰が照れ屋だ」

男の真っ赤な耳にキスをして、ナミもシーツに潜り込んだ。


続く言葉はまた明日。


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ゾロナミだよー。
甘い?甘い??
ゾロがかわいくなりました?(オールウェイズ疑問形)


09:記憶も思い出も抱きしめて


「ロビンちゃんどうしたの、まだ調子悪い?」
「ちょっと眼が覚めちゃって」

美しい黒髪を風になびかせながら、黒い海を眺めていたロビンは振り返って微笑んだ。
サンジも笑顔でその隣に立つ。

「何か寝付きがよくなるようなモン持ってこようか?」
「いいえ、大丈夫」
「そう」

ロビンの隣で同じように髪を夜風に泳がせながら、サンジも海を見つめる。

「オバケが出る夢でも見たのかな?」
「………いいえ、単なる昔の記憶よ」
「そうかい」

サンジはそれだけ言って、火を点けずに咥えていたタバコを海に捨てた。
それからロビンに向き直って両腕を広げる。
ロビンは意図が掴めず首をかしげた。

「おれの胸で宜しければお貸ししますよ」

にっこりと笑ったサンジの言葉に、ロビンは珍しく戸惑った表情を見せる。

「……ダメよ」
「どうして?」
「私は、優しくされる資格は無いの」
「そういうのに資格って関係ないと思うけど」
「関係あるわ。少なくとも私には」
「……何でそう思う?」
「…………」

ロビンは答えず、羽織っていたショールを握って己の体を抱くように身を縮めた。
サンジは相変わらず腕を広げたままロビンを見つめていた。

「じゃあ、言い方を変えようか。おれには貴女を抱き締める資格はあるかな?」
「……それは私が決めることでは…」
「じゃあ勝手にしよう」

そう言って、サンジはロビンを抱き寄せた。
やんわりとした拒絶の意味も含めて体を固くしていたロビンだったが、
宥めるように背中を撫でられ、結局大人しくサンジの体に腕を回した。

「………敵だった私に、どうしてこんなに」
「今はもう仲間だろ? 何言ってるのロビンちゃん」
「……あの男が言ってたように、いつか貴方たちに迷惑をかけることになるわ」
「迷惑ってんなら、船長の胃袋のほうがよっぽど迷惑だ」
「……例えば私が貴方たちを裏切ったら、それでも貴方は私を抱きしめることができるかしら」
「裏切るなんて、ありえないよ」
「……何故そう思うの?」

ロビンが顔を上げると、優しく微笑んだサンジと目が合った。

「だっておれがずっとこうして抱き締めてたら、裏切るヒマなんてないだろ?」

そう言ってサンジはロビンの額にそっとキスをして、
へへっと嬉しそうに笑いながらさらに強く抱き締めた。


こんなにも優しく愛しい人たちを、いつか自分は傷つけてしまうだろう。
あぁこの時間が永遠に続けばいいのにと、ロビンは固く目を閉じた。


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サンロビ、ちょっとシリアス。
青キジ登場後、W7前あたりだと思ってください。


10:花を一輪、君に飾ろう


「ベタだけどさ、やっぱりこう、誕生日に両手いっぱいのバラの花束とかさ」
「何の話だ」
「一度は経験してみたいっていうか」
「だから何の催促だ」
「べっつにー」
「……お前、おれが花束抱えて町歩く姿が見たいか?」
「……まぁちょっと不釣合い極まりないのは確かだけど」
「だろ? ってことでお断りだ」
「……ケチ!」
「女ってのは何でそう花が好きなんだ」
「別に花が好きなわけじゃないわよ。お金になんないしね」
「お前の基準は金か。じゃあ何で催促すんだよ」
「好きな男から花を贈られるって、やっぱり乙女の永遠の憧れなわけよ」
「この船のドコに乙女がいるって?」
「もう、いちいち五月蝿いのよアンタ!」



とある春島に上陸した麦わら一味は、いつものように各々買出しに出かけて行った。
今回はナミが船番を務め、ゾロは一人で町へと消えて行った。
その結果当然の如く、集合時間を大分過ぎた頃ゾロは戻ってきた。
それも計算に入れた上での集合時間だったので、
他のクルーは特にその遅れを咎めることもなく、さっさと出航準備を始めていた。
のそのそと甲板に上がってきたゾロの手には、一輪の花があった。

「どうしたゾロ、似合わねぇモン持って」
「…ナミは?」
「買ってきてやったヤツを部屋に置きに行った。すぐ戻ってくんじゃねぇの?」

買出しの品を中に運んでいたウソップはその手を止め、額の汗を拭いながら答えた。
それと同時に倉庫の扉が開き、ナミが現れた。

「あ、ゾロ遅い! さっさとウソップの手伝いして! 片付かないじゃない」
「ナミ」
「何よ? …って……」

いつもの勢いで怒鳴っていたナミだったが、
ゾロが持っていた花を乱暴に突きつけられて、戸惑いつつそれを見下ろした。

「…何、どうしたのよコレ」
「やる」
「……」
「……さっさと受け取れ」
「…あ、ありがとう…」

ナミは少し頬を染めて花を手に取った。
ピンク色のそれはナミも見たことのあるものだった。

「これ、カーネーション…だっけ?」
「あぁ」
「どうしたの?」
「…おれの住んでた村では、今日は母の日っつってな…子供が母親にカーネーションを贈るんだよ」
「……あんたいつから私の息子になったのよ」

その言葉にゾロはギロリとナミを睨む。
だがすぐに目を逸らし、ボリボリと頭を掻いた。

「だから、花屋がその花ばっか売ってて、売りつけられたっつーか……」
「……はいはい」

ふいっと逸らしたままのゾロの横顔を見て、ナミはクスクスと笑った。

それから、何か『仕方ない』理由がなければ花のひとつも買えない純な剣士に、
感謝のキスをひとつ返した。


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普通にゾロナミです…かね?
オチが弱い!!
ちっくしょう!!


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