過去拍手・其の二十一 (2007/04/01〜2007/04/30)

初歩的恋愛で10のお題 1〜5


01:かわいい嘘


「ねぇ、ゾロは?」
「寝てるんじゃねーの?」
「甲板いなかったわよ」
「じゃあ男部屋かどっかにいるだろ」
「どっかって?」
「おれに聞くなよ」
「もう!」

そう言ってナミは頬を膨らませてキッチンから出て行こうとした。

「ゾロに何か用事か?」
「んー別に…掃除でもやらせようかな、と」
「ふーん」

そのままニヤニヤ見つめていると、ナミはむっと眉を寄せる。

「何よ、ウソップ」
「いやー、別に?」
「何なのよ!」

訳が分からず頬を染めたナミは腰に手を当てて睨んでくる。
普段は怖ろしいその立ち姿も、今は何故だか可愛げがある。

「お前って」
「何」
「ゾロのこと大好きだよなぁ」
「………」

殴られるか、とも思ったがついつい言ってしまった。
だがナミは表情を変えず、指先一つ微動だにさせなかった。
反応が無いことが逆に恐ろしく、防御の姿勢を取ろうとすると、
ナミは拍子抜けするほどにっこりと微笑んだ。

「そんなわけないでしょバカ?」

そう言い残して出て行った。


メリー号の航海士は、時折かわいい嘘をつく。


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今回は連載物ではなく、単発でいきます。
とりあえずウソプーから見たナミ→ゾロ。


02:囁き一つ、愛しいの


「ゾロ、何してるの」
「見て分かんねぇか」
「釣り」
「ご名答」

手すりの上に胡座をかいたゾロは、眠そうに目を細めながら釣り糸を垂らしている。
その隣で手すりに両手を乗せて、ナミは海面を覗き込む。

「何か釣れた?」
「んにゃ」
「どうすんのよ晩御飯」
「後甲板でルフィたちもやってっから、そのうち何か釣るだろ」

くぁ、と大きな欠伸を一つして、ゾロは首をコキコキと鳴らした。

「………」
「………」

何故か揃って無言になって、2人は一向に引く気配の無い釣り糸の先を見下ろす。

「……何か喋れ」
「…何を?」
「おれは眠いんだよ」
「だから」
「眠気覚ましにお前そこで何か喋っとけ」
「……眠気覚ましなら自分が喋ればいいじゃない」
「おれは聞いてる」
「私も聞いてる」
「………」
「………」


ただ、声が聞きたいだけ。


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ナミ→←ゾロ。


03:背中に飛びつけたらいいのに


夢の中は、目の眩むような赤一色だった。
頭の上も足元も、自分の手すらも真っ赤に染まっていた。

ふと気付くと、誰かが先に立っていた。
見覚えのある後姿。

ゾロ

声をかけてもその男は振り返らない。
赤い世界の中でただそこだけ、真っ白な柄の刀。
片手でそれを握り、ダラリと体の横にたらしている。
少し俯いたその顔は見えない。
ゾロの体も、ゾロの足元も真っ赤だった。
見ていると、この世界の『赤』はゾロのあたりから湧き出ていた。

ゾロ、怪我してるの?

答えは無い。


その歩む道が、その世界が赤く染まろうと、男は足を止めることはない。
たとえ私が立ち止まっても、男は私に背を見せて前に進み続ける。
その背中に飛びついて、やめてと叫べたらどんなにいいか。

だがたとえそうしても男は聞かないだろうし、
私が決してそう言わないことを男は知っている。


離れていく背中を見つめ、孤独を感じる必要は無い。

私は、彼の隣を共に歩むのだから。


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ナミ→ゾロな感じで。
ゾロナミでもいいけど。
唐突にシリアスでごめんなさい。
そして意味不明でごめんなさい。
書いた本人が一番理解不能です。


04:瞳だけで話せたらいいね


「ナミさん今日もお美しい!」
「ありがと」
「貴女のためにおれに出来ることがあるのなら何なりと」
「あらそう、じゃあとりあえず美味しい飲み物よろしく」

「ん、美味しい」
「おれの愛がこもってますから」
「はいはい」
「本気ですよ?」
「はいはい」
「愛してます」
「はいはい」


おれの気持ちはどれほど伝わってる?
繰り返す言葉をどうか軽いものと考えないで。
見つめるだけで伝えられたら。
そう考えても、おれはやっぱり口にせずにはいられないのです。

貴女を愛しているよ


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いきなりサンジ→ナミ。
報われないサンジくんが好きなんだってば。
報われなくてナンボのサンジくんが好きなんだってば。


05:音のない告白


見張り台に座って、手にした本のページを捲っていく。
時折立ち上がり、双眼鏡を覗いて周囲を確認する。
異常なし。
グランドラインにしては、えらく平穏な航海だ。

ふと人の声が聞こえて、双眼鏡も本も足元に置いて甲板を見下ろした。
倉庫から出てきた2つの影。
この船の航海士と、剣士だった。
航海士は何やら髪の乱れを直しながら、後ろについてくる剣士へと抗議の声を上げている。
剣士は悪びれる様子もなく、頭を掻きながらあらぬ方向を向いている。
振り返った航海士にそれがバレて、脳天に派手な拳骨が落ちた。
かわいい2人、と思いながらこっそりとその様子を眺めていた。

剣士へ向かって声を荒げながらも頬を染めている航海士は、それを誤魔化すように後甲板へと消えて行った。
残された剣士はその背中を見送りながら、大きな欠伸を一つ。
何をしたのかは知らないが(想像はつくが)、反省の色は無いらしい。
ふふ、と笑いながら緑色の丸い頭を見つめる。

好きよ

声には出さずに口だけ動かして、告げてみた。
この距離ならば、たとえ口に出しても聞こえはしない。
ふいに顔を上げた剣士と目が合った。
微笑んでみせると、バツが悪そうに眉を寄せて剣士は倉庫の方へと戻っていった。


音の無い告白は、優しく吹く海風に流される。


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再びいきなりロビン→ゾロ。
このゾロナミはデキてますよv
ロビンちゃんはジャマする気はありません。


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