過去拍手・其の十八 (2006/11/01〜2007/01/14)

隠した恋で10のお題 6〜10




06.引き離されたくないから

「ナミさんってさ、ゾロと夜中に呑んでるよね」
「・・・うん、たまにね」
「いいなぁ、おれも混ぜてよ」
「・・・そうね、いいわよ?」
「・・・うそつき」
「え?」
「・・・何でもありません。よく考えたら酒豪2人に付き合うのはキツそうだなぁ」
「ふふ、そうかもね」
「やっぱり遠慮しときます」
「そう」


貴女はきっと気付いてしまうだろうね。
おれのゾロへの感情に。
だから近づきすぎない、だが離れることもできない。
行動に移すこともできない、かと言って忘れることもできない。
みっともないかな、おれ。


サンジくんが退いてくれて、正直ほっとした。
ゾロとの2人の時間を邪魔されたくなかった。
2人になれるあの時間とあの空間に、他の誰も入ってほしくなかった。
大事な仲間を邪魔に思うだなんて、私は冷たい女だろうか。



これ以上に進めなくてもいい。
ただ今以上に、引き離されたくはないのだ。


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片恋シリーズ後半戦。
まずはサンジ→ゾロ←ナミ。


07.二人にしか分からない暗号

夕食の後でナミと目が合う。
ほんの一瞬、それでも何が言いたいかは分かる。
単なる酒豪同士の意気投合ってヤツか?
だがそれだけじゃないと信じたい自分がいる。

日課のトレーニングを終えて風呂に入り、それから女部屋に向かう。
ただ2人で話しながらボトルを開けて、しばらくしたらお開き。
おれは男部屋に戻り、ナミはそのまま自分の部屋で寝る。
ただそれの繰り返し。


「ねぇゾロ」
ナミが口を開く。
「この間」
「あぁ?」
「私がキッチンで寝ちゃってたとき」
「・・・あーー、あぁ」
「あのとき」
「・・・・・・」

何が言いたい?
何を言わせたい?
ナミはおれの目をじっと見つめてくる。
くそ、いつもなら。
いつもなら、こいつの目を見ればすぐに分かるのに。

いや、分かってる。
本当は分かってるはずだ。

何をビビってる?

こいつの目を見れば、分かるはずだろ?


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アセるゾロ(笑)。
『この間』ってのは2題目の時の話です。


08.お願い、見逃して神様

今日も見張りの後で、ゾロはキッチンにやってくる。
「ちゃんと寝ないで見張ってたか?」
「あぁ・・・ナミがうるせぇから」
「・・・なるほど、ね」
こいつの口からナミさんの名が出るたびに、心臓がきゅうと痛くなる。
自分で気付いているのかいないのか、何て大事な言葉のようにお前はその名を口にするのか。
「・・・ほれ、あったまるぞ」
「紅茶かよ、酒は?」
「それ、中に酒入ってる」
「ふぅん」
ゾロはそう言って差し出したカップに口を付ける。
素直に飲みだしたことに少し笑って、再び皿を洗い出す。

全て洗い終えて水を止め、ゾロがやけに大人しいことに気付いた。
「ゾロ?」
振り返ると、ゾロはテーブルの上で組んだ腕を枕にして、熟睡していた。
「・・・本当に、真面目に見張りしてたんだな」
苦笑して、音を立てないようにして近づく。
両の瞼をしっかりと閉じて、口は半開きで起きる気配はゼロだ。
「朝までここで寝る気か」
もちろん返事は無く、小さく溜息をつく。
少し腰をかがめて、その顔をじっと見つめる。
「おれが敵だったら、お前今頃死んでるぞ」
呟いてみたが、この剣士は殺気を感じれば飛び起きるだろうし、
おれがこいつに敵意を抱いていないことを知っている。
おれを、信用しているのだ。
その信頼に応えるには、おれの感情は邪すぎるか?

あぁどうか神様、今ここに誰も来ませんように。
どうかゾロがあと少し、目を覚ましませんように。
どうか神様、おれを見逃してください。
ほんの少しの間だけ。


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恋するサンジくん。
無防備なゾロは変なフェロモンが出てるとか出てないとか。


09.そっと貴方の耳元だけに囁くわ

気付かなかったフリをすべきだったのだろうか。
でも気付いてしまったのだ。
私に触れる、ゾロの唇の温もりに。
もしかして。
もしかして、という思いが止まらない。

あのときどうしてキスをしたの?
指先に、遠慮がちに触れるだけの。
ねぇゾロ。
私と、ゾロは。


ゾロは固まってしまって動かない。
でもまっすぐに私を見ている。
ゾロなら、分かってくれるよね。
今まで隠し続け逸らし続けてきた、この視線の中の想いに。

勇気を、出してみようか。
貴方はどんな顔をするだろう。
その耳元で、私の想いを告げたなら。

きっと大丈夫。
だって、もう分かったんだもの。
ねぇ、ゾロ?


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ナミさんの方から動き出したらしいよ。


10.棺の中で明かされた真実

ゾロから、ナミさんと付き合うことになったと言われた。
何でわざわざおれに報告するのか、とも思うが、
秘密にされるよりはまだマシか。
「そうか、お前とナミさんがな」
「・・・もっと怒るかと思ったぜ」
「何で」
「てめぇ、ナミさんナミさんって言いまくってたじゃねぇか」
「・・・確かに、そうだな」
苦笑する。
ゾロがおれの気持ちに欠片も気付いていなかったことに。
「愛しのナミさんが幸せなら、それでいいんだ」
「・・・そうか」
「泣かすなよ」
「あぁ」
「話、それだけか?」
「あ? あぁ・・・」
「じゃあおれ夕食の準備あるから、行くぜ」
「あぁ、時間取らせて悪かったな」
「・・・いや、ちゃんと宣言してくれて良かったよ。
 お前の口からンなセリフ出るとは思ってなかったしな」
「うるせぇ」
笑いながら言うと、ゾロは少し顔を赤くして睨んでくる。
それにまた苦笑して、背を向けた。
「ナミさんを頼むぜ」
「言われなくとも」
「じゃあな」
「おう」


知らず早足になっている。
早く、早くキッチンへ。
誰にも会いたくない。
今の顔は誰にも見られたくない。

良かったねナミさん。
良かったなゾロ。
あの2人が幸せなら、それでいい。
本当に、見栄なんかじゃなく、心からそう思う。
おれの感情なんて、誰にも知られる必要は無い。

おれのこの気持ちも、
あの日ゾロにキスした事実も。
いつか棺に納まり海の底に沈むその日まで、
誰にも明かされることはない。


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ごめんよサンジくん、切ないポジションで。
あの日サンジくん、ゾロに手出しちゃってました!

という感じで片恋お題は終了。
サンジくんはサンナミだろうがサンゾロだろうが報われないという哀しいポジション@隠れ家。
でもイイコなんだよこの子は…!!(笑)


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