過去拍手・其の十七 (2006/10/03〜2006/10/31)

隠した恋で10のお題 1〜5



01.秘めねばならないことがこんなにつらいなんて

ただ告げるだけなら、こんなに悩む必要は無い。
想うままを、感じるままを言えばいいのだから。
でもそれが許されない。
だって私たちは、仲間だから。
それ以上になるわけにはいかないのだ。


出逢うずっと前から一方的に想って、ずっと秘めてきた。
誰にも言えず、誰にも言う気は無かった。

そんな相手が今、同じ船に仲間として乗っている。
あの頃の自分から考えたら、これ以上の関係がどこにある?
共に過ごして、共に戦って、共に生きる。
これ以上の何を望むのか?

私たちの『家』であるこの船の上で、
他の仲間たちとの心地良い均衡を崩すわけにはいかないし、崩したくもない。

だけど、いつまで?

永遠に?

日々募るこの想いを口にできないなら、きっと私の胸はこわれてしまう。
でもこの関係が壊れるくらいなら、自分がこわれてしまった方がいい。
秘めることを、つらいと思ってはいけない。

ただひっそりと、胸の中で大きくなり続ける想いを溢れさせないように。


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片恋シリーズで行きました、このお題は。
でことで1題目はナミ→ゾロです。


02.指先にしか、口付けられない

夜のトレーニングを終え、水分補給のためにキッチンに入った。
コックの姿は無いが、おそらくは風呂にでも入っているのだろう。
だがキッチンの主のかわりに、この船の航海士の姿があった。

テーブルに日誌を広げ片手にペンを握ったまま、
もう片方の腕を前に投げ出してその上に頭を乗せて眠っていた。
テーブルに伏せた不自然な体勢ながら、ぐっすりと気持ち良さそうに目を閉じている。
薄着の服から無防備にさらされた肩が寒そうに見えたが、あいにく羽織らせてやるものをもっていない。
まぁ今夜は冷えてもいないし、風邪をひくことはないだろうと思って、
その横を静かに通り過ぎる。

勝手に酒を飲んだら、あとでコックにネチネチと嫌味を言われるだろうか。
上陸前で酒が減っていることもあるし、今日は水で我慢することにした。
蛇口を捻ると静かなキッチンに派手な水音が響いて、慌てて振り返ってナミを見る。
だがナミは相変わらずスースーと小さな寝息を立てて眠っていた。
息を吐いて、グラスに水を注ぎ一気に飲み干す。

グラスを適当な場所に置いて、また振り返る。
ナミはおれの気配に気づきもせず、ここで朝を朝を迎えるつもりなのか身動きひとつしない。
足音に気をつけながら、その正面の椅子に座った。
テーブルの中央にはナミの腕が伸びている。

普段のルフィたちへの鉄拳制裁や、長いタクトを振り回す姿からは想像できないほど、細い。
手を伸ばし、その腕にそっと指を滑らせる。
ナミは一瞬身じろぎしたが、やはり起きる気配は無い。
そのままナミの手を少しだけ持ち上げて、折れそうなほど細いその指を軽く握った。

このままナミが起きなければいい、という思いと、
いっそこの瞬間に起きてくれれば、という思い。
相反する2つの感情の間で揺られながら、静かに眠るナミの顔を見つめていた。

気付かれてはいけない。
こいつは、仲間なのだから。
そう自分に言い聞かせても、ナミの手を離すことができなかった。

だがもうすぐコックも戻ってくるだろう。
ナミの手に触れたまま、仕方なく立ち上がる。
引っぱられるようにナミの腕も少し持ち上がった。
やはりナミは起きない。
それに苦笑して、腰をかがめる。

白く細い指先に、そっとキスをする。

今もこれからも、きっとこれ以上には進めない。


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2題目はゾロ→ナミ。
純情ゾロです。


03.いっそこの喉を潰して

たとえば、甲板でトレーニングする姿を見ているとき。
たとえば、上陸した町で偶然一緒になったとき。
たとえば、夜中にキッチンでお酒を酌み交わすとき。

その名前を呼ぶ声に、私の感情は混じってしまっていない?

言いたくて言いたくてたまらない。
たとえ口にしても、この男はきっと気付かないフリをしてくれるだろうけど。


いっそこの喉が潰れてしまえば、
抑える必要もなくなるのにね。

この声に潜んでしまわぬよう。
この想いに気付かれぬよう。


あんたの名前を呼ぶだけなのに、私すごく頑張ってるのよ。


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3題目、ナミ→ゾロ。
どシリアス傾向になるのをどうにか抑えようとして、あえなく失敗(笑)。


04.知られてしまえばそこでおしまい

『ゾロは好きなヤツいないのか』

キッチンで、珍しくウソップとナミとの3人で酒を飲んでいた。
良い具合に酔っ払ったウソップの発言に、一瞬体を強張らせる。
チラリと素早くナミに視線をやると、ナミはそんな質問を気にもしていないのか、
手酌で自分のグラスに酒を注いでいた。

『・・・何だよ、急に』
『いやー、生まれた村とか、あと海賊狩りとして色々回ってたんだろ?そういうトコで』
『いねぇよ』
言葉を遮るように即答する。
含まれた棘に気付いたのか、ウソップはそれ以上その話を広げることはしなかった。
少し首をかしげて汗をかき、誤魔化すようにゴクリとグラスの酒を一口飲んでいる。
ナミはというと、話題に乗ることもおれの態度を不審がることも、何もしなかった。
それに妙に腹が立ったが、同時に安心もした。
ナミに同じことを聞かれていたら、おれは冷静に返事ができただろうか?

知られたら、全部終わってしまうのに。
この関係も、この空間も。

一度吐き出してしまえばきっと抑えることはできないし、
乱暴なその感情はこいつを傷つけてしまうだろう。


お前への感情を、おれは決して口にはしない。

失いたくない、大切な存在だから。


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4題目、ゾロ→ナミ。
口に出すことで終わってしまうなら永遠に秘密のままに。


05.モラルという名の枷

気になるだけだった。
何故だかやたらと目について、それが余計に気になって。
何でアイツばっかり見てしまうのか、その理由に気付いていても気付かないフリをした。
間違いだと、自分でも思いたかったのに。

たとえば、もしお前が女だったりしたら?
もしおれが女だったら?
この感情を『間違い』だと思い込もうとする事もなかったのか?

おれたちは2人とも男で、おれはホモじゃないしアイツだって違うだろう。
小さく狭い常識が染み付いて、自分の感情に素直になることができない。


おれは自分の感情を否定する。
胸に繋がれた枷は、自由になるにはあまりに重すぎた。


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5題目、サンジ→ゾロ。
ゾロとナミだけで10本はキツかった(笑)。
てことで悩み苦しむサンジくんです。
性の壁を簡単に越えられるほどには、サンジくんは自由人ではないのです。
ここがゾロサンゾロなサイトだったらひょいーーっと越えますけどね!(笑)

残り5本のお題(来月分)に続いてます。


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