隣。
「・・・・ナミ?」
実験に熱中していたために風呂の順番が最後になったウソップは、
タオルで頭を拭きながら倉庫から出てきた。
もう誰もいないと思っていたのだが甲板にナミの姿を見つけて、声をかけた。
「何やってんだ? もう寝たかと・・・・」
「・・・・・ウソップ」
笑いながら近づいたウソップに、
手すりに肘をついて海を見下ろしていたナミはゆっくりと振り返った。
その顔を見て、ウソップの笑顔が消える。
「・・・どうしたんだよ・・・・」
「・・・別に、何でもないの」
片腕でごし、と目元を拭いてナミは誤魔化すように笑った。
「・・・・まーた、ゾロと喧嘩したのかぁ?」
あえてウソップは軽い調子で聞いた。
ナミも肩をすくめてまぁね、と呟いた。
ナミの隣に立って同じように海を見下ろしながら、ウソップはタオルを首にひっかけた。
「お前を泣かすなんて、ゾロもいい根性してるよな」
「本当にね」
それからしばらく2人は海を見ていた。
波は穏やかで、月の明かりに照らされて白くそれが見える。
ナミがすん、と鼻をすするのをウソップは黙って聞いていた。
時折目尻をこするが、もう涙は止まっていた。
「・・・・お前、泣いてばっかりじゃねぇの」
「・・・・そうでもないよ」
「・・・・・・」
「ゾロと居ると・・・・楽しいし、嬉しいし、幸せよ。そりゃあ、時々泣かされるけどね」
「・・・・何で、ゾロなんだよ・・・・」
ゾロの話をする『女』の顔のナミを見て、ウソップは思わず呟いた。
急に胸が苦しくなって、言うつもりの無い言葉が出てくる。
「・・・ウソップ?」
「おれだって・・・・・・おれだって」
「・・・・・」
「お前が、」
「ごめん」
勢いのままで続けようとしたウソップの言葉を、ナミは遮った。
ナミの辛そうな表情に気付いたウソップは我を取り戻して、顔をしかめて俯く。
「・・・・・悪ぃ、今の忘れてくれ」
「・・・・・・・・忘れて、いいの」
「・・・・あぁ、・・・いや・・・・」
「・・・・・・」
「いや、やっぱり忘れてくれ!」
「・・・・・・」
ウソップは両の手のひらをナミに向けて振りながら、へへっと笑った。
「おれはさ、お前を困らせたいわけじゃないんだ。
お前が相談に乗ってほしいっつーんなら乗るし、
お前が隠れて泣きたいっつーんなら、誰も来ないように見張っててやる」
「・・・・・・」
「・・・・困らせたいわけじゃ、ないんだ・・・・」
ウソップは自嘲気味に笑いながら、また俯いた。
ナミはそれを見て、軽く微笑む。
「・・・・ありがと、ウソップ」
「・・・・やっぱりさ、お前には魔女の笑みが似合うわけだしな! うん!!」
「何よそれ!」
「そう、それだよ」
首のタオルを頭に巻きながら、ナミの顔を見てウソップは言った。
手すりに背もたれて、星空を見上げる。
こんなに静かな夜は久しぶりだ、と思った。
ナミの隣で、ゆっくり空を見上げることができる夜なんて。
「これからもさ、愚痴りたいなら愚痴っていいぜ。おれで良けりゃ」
「・・・・・」
「何なら、お前のかわりにゾロに制裁くだしてやってもいいんだぜ!」
長い鼻を自慢げに上に向けて胸をはるウソップの姿に、ナミはクスクスと笑う。
いつだって人を笑わせようとしてくれる、この男の優しさがナミは好きだった。
「どうやって?」
「ウソップ様特製火薬星でだ、モチロン!!」
「・・・ゾロに勝てるの?」
「・・・結果はどうあれ!! 気持ちの問題だ!!」
「・・・・・それは、頼れるわね」
「じゃあな! 早く寝ろよお前も!」
「うん・・・・」
ウソップは手を振りながら、口笛を吹きつつ男部屋の入り口へ歩いて行った。
ナミはその後姿を見つめていたが、扉に手をかける前に呼び止めた。
「ウソップ!!」
「何だ?」
「・・・・忘れないからね」
「・・・・・・・忘れてくれよ、頼むから」
ウソップは困ったように笑いながら、そう答えた。
ナミは腰の後ろで手を組んで、ふふっと笑う。
「イヤよ」
「・・・・勝手にしろーー」
うっすらと耳元を赤くして、ウソップは逃げるように男部屋に下りた。
慌てたウソップの様子にナミは笑いながら、
いつの間にかゾロとの喧嘩を忘れていたことに気付いて、また一人で笑った。
2006/04/10 UP
ウソ→ナミですぜぃ。
でもやっぱり『いい人』止まりのウソプーさん。
結構ナミさんも弄び系ですかコレ。
いやいや、ゾロナミ一筋ですよ。
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