香。
「ねぇ、誕生日どうする? ロビンときみたく皆からのキスでいい?」
とある昼下がり。
柔らかい風に暖かい日差し、くわえて波も穏やか。
メリー号はのんびりとした航海の最中だった。
甲板で謎の道具を広げながら発明に勤しんでいたウソップの前にしゃがみこみ、
ナミは笑顔でそう言った。
「安くすませる気か・・・てかお前とロビン以外全員男だぞ! キスなんか貰っても嬉しくねぇ!」
ウソップに慌てて拒絶され、ナミは口を尖らせてちぇっと呟く。
「残念・・・。じゃあ、当日にちょうど島につくから一緒に買い物行こっか。
あんたの事だから、星の材料とかが欲しいんでしょ?」
「・・・まあな・・・・」
「他の皆は何するか知らないけど、私からのプレゼントはそのとき選んでよ、ね?」
「・・・あぁ、サンキュ!」
ナミはにっこりと笑いかけ、つられてウソップも微笑む。
「で、今は何作ってんの? 新作?」
「イヤ、それがいいのが無くてなぁ・・・悩み中なんだ」
ウソップは手に持った試験管を揺らしながら、眉を寄せて唸った。
小首をかしげてそれを見つめていたナミは、何か思いついたのかぱっと顔を明るくした。
「香水とかは?」
「・・・香水、か・・・・」
「ほら、ナノハナの香水、チョッパーが辛そうだったじゃない? 動物相手なら効きそう」
ナミが一人で盛り上がるなか、ウソップは顎をさすりながら再び唸る。
「そうだなぁ・・・・でも香水なんか持ってねぇよ」
「待ってて、私の貸したげるわ!」
ナミは立ち上がり、小走りで女部屋へと走って行った。
どうやら今日は機嫌がイイらしい、と思いながらウソップはナミの背中を見送った。
数分後、ナミは小瓶をウソップに振ってみせながら戻ってきた。
「はい」
「お前、普段香水とかつけてたのか?」
「たまにね・・・。ほら、ミカンの香りよ」
ゾロと2人で街に出るときにはナミは香水をつけるのだが、あえて説明はしなかった。
瓶の蓋を開け、ウソップは鼻を近づけてクンクンと匂った。
「ほんとだ」
「いい香りでしょ?」
「あぁ、お前の匂いだな!」
ウソップがにかっと笑ってそう言ったので、ナミは思わず顔を赤らめた。
「あんたにそんなこと言われると・・・妙に照れるわね」
つられてウソップまで顔を赤くなる。
「・・・何やってんだお前ら?」
「「あ、ゾロ」」
2人が一瞬無言になったところで、ゾロがあくびをしながらやってきた。
「新型の星の開発中よ」
「ほらゾロ、ナミの匂いだ」
「・・・・」
ウソップが笑って香水の瓶をゾロに向かって持ち上げるが、
ゾロは軽く鼻を鳴らして匂っただけで、何も言わなかった。
「・・・・・えーと、じゃあおれ、続きは2階でやるわ! じゃ!!」
こっちは御機嫌斜めらしい、と気付いたウソップは、
散らばった道具をさっさとかき集めて階段へと向かった。
「・・・・何怒ってんの?」
「別に」
「ヤキモチ」
「違う」
無愛想な返事に苦笑しながら、ナミは立ち上がる。
「どんな星になるかなーー」
「・・・・アレ、風呂上りにたまに付けてるヤツか?」
「そうよ。・・・・・何?」
「・・・・あんなんつけなくても、お前イイ匂いしてんじゃねぇか」
「・・・・・」
「特に、・・・・ヤってるとき」
「・・・・変態!!」
一言多いゾロは、真っ赤になったナミの手によって甲板に埋まることになった。
2人のやりとりを背中越しに聞き、ウソップは小さく笑った。
相変わらず仲いいよな
本当、おれの入るスキなんか無ぇよ
手の中の『ナミの匂い』を見つめながら、心中で呟く。
この手に抱くことはできないけれど、とりあえず誕生日には2人で買い物だ。
へへっと笑って、ウソップは瓶を握り締めて工場へと急いだ。
この星が完成したら、まずゾロにぶつけてやろうと目論みつつ。
2006/04/01 UP
ウソ誕です。
誕生日DLFの割りには、ウソ→ナミ色が・・・・。
まいっか。
ウソップって書き辛いよーー。
口調がよく分かんないね。
ちなみに香星は、鼻を潰す目的ではなく、男子の邪な心を刺激します(メロリン)(笑)。
ウソップは、恋愛(自分の感情)とそれ以外をちゃんと区別できる子だと思います。
恋に恋することはない、みたいな(笑)。
恋愛にかまけてポヤーーっとすることが無さそう。
まぁそんな感じで、他の子より大人なイメージです。
・・・・文章では表現できませんがね!!(爆)
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