共。







 「食い足りねぇなぁ・・・・」

 「底なしすぎんだよてめぇの腹は。夕飯まで待て!」



ボソリと呟くルフィにそう言い残して、サンジは倉庫へと食材を取りに行った。
普段ならば決してルフィをキッチンに残したままにはしないが、この日は安心だった。
キッチンには、ルフィの他にロビンもいるのだ。



おやつを食べたあと、そのままロビンはキッチンで本を読んでいる。
ルフィはロビンの正面に座って、暇そうに顎をテーブルに乗せてぼんやりとロビンを見ていた。








 「なぁ、その本面白いのかー?」

 「えぇそうね、面白いわ」

 「ふーん」

 「・・・・・」

 「・・・・・・腹減らねぇ?」

 「さっきおやつ食べたでしょ?」

 「足りねぇよなー。夕飯まだかなー」

 「まだまだよ」

 「そっかー」

 「・・・・・」

 「・・・・やっぱ腹減らねぇ?」



ロビンは苦笑しつつパタンと本を閉じた。



 「コックさんに留守番頼まれてるんだから、冷蔵庫は開けないわよ?」

 「やっと本閉じたな」

 「・・・・・・・・・・あと少しで終わるところだったのに」

 「おれと居るんだから、おれと話そうぜ」

 「・・・・勝手な人ね」




ロビンが軽く睨むと、ルフィはへへっと笑った。




 「五月蝿い男は嫌いかー?」

 「そうねぇ、どちらかと言えば寡黙な男の方が好みかしら?」

 「マジか・・・・・」

 「ふふ・・・」



妙な汗をかいたルフィの様子に、ロビンはクスクスと笑う。


ルフィは拗ねたように口を尖らせ、腕を伸ばしてテーブルに突っ伏す。
顔だけ上げて、ポツリと呟く。




 「ゾロだって結構喋るんだぜー」

 「そうね、航海士さんと仲良く喧嘩してるものね」

 「・・・・・・・・・・お前さ、ゾロと・・・・・」

 「フラれたわよ?」

 「・・・・・・・・それでも、ゾロがいいのか?」




ルフィは体勢を変えず、上目遣いでロビンを見上げながら聞いた。




 「そうよ」

 「でもゾロはナミを選んだろ」

 「このまま想ってても無理だってことは、分かってるわ」

 「・・・・・・・じゃあ、おれにしとけよ」

 「・・・・簡単なものじゃないでしょう、こういう気持ちって」

 「・・・・・」




ロビンはパラパラと本を弄びながら、微笑む。






 「初めてなのよ、こういうの」

 「・・・・」

 「叶っても叶わなくても、大事にしたいの」

 「・・・・・おれだって、はじめてなんだぜ」

 「・・・・そう」




ルフィは起き上がり、ギシギシと椅子を傾けながら、
本に触れるロビンの指を見つめていた。




 「彼を想い続けても叶わない、でも想い続けることに意味が無いとは思わないから」

 「・・・・・」

 「ごめんなさい、ルフィ」




目が合うと、ロビンは申し訳無さそうな顔をして、それから軽く微笑む。
ルフィははーーっと長い息を吐いて、首を後ろに反らした。




 「なんか、謝られると全部終わっちまった気になるなーー」

 「ふふ」

 「じゃあさ、おれが想い続けることも意味があるよな?」

 「・・・そうね」

 「言っとくけど、結構おれ執念深いぜ?」




ルフィは椅子に座りなおし、ニヤリと笑った。




 「あら、そうなの?」

 「好きなことにはしつこいんだ」

 「そう・・・・」

 「おれさ、風車のおっさんに約束したんだ」

 「風車?」

 「ナミの村のおっさんで、ナミを泣かせるなって。泣かせたらおれ、あのおっさんに殺されちまう」

 「そうなの」




唐突に話題の変わったルフィだったが、ロビンは気にもせず笑顔で返す。




 「だからおれはあいつを泣かせない」

 「・・・・私のせいで、随分泣かせちゃったかもしれないわ」

 「大丈夫だそれは。・・・・・なぁロビン」

 「なぁに」

 「お前を泣かすヤツがいたら、おれがそいつを殺してやるから」

 「・・・・・・あら、ありがとう」




真面目な顔でそう言われて、一瞬鼓動の早くなったロビンだったが、
平静を装って返事をした。




 「でも、できれば泣くなよ」

 「・・・大丈夫よ、泣かないわ。だって私、すごく幸せなのよ?」

 「幸せ?」

 「自分の居場所がある幸せ」




ルフィが小首をかしげるのを見て、ロビンはふふと笑いながら続けた。




 「確かにあの2人を見てて、全然平気ってわけじゃないけど、
  それ以上にこの船に居られて、皆の傍に居られて、それが幸せなの」

 「・・・・」

 「女としてじゃなく、仲間として剣士さんの傍に居られるのが幸せ。
  ライバルとしてじゃなく、仲間として航海士さんの傍に居られるのが幸せ。
  ・・・あなたたちの傍に居られるのが、幸せなの」

 「・・・・そっか」

 「人生でこんなに満たされてるのも、初めてかもしれないわ」




100人が100人、見惚れるような笑顔でロビンはそう言った。





 「おれも幸せだ」

 「これからもよろしくね、ルフィ?」

 「あぁ!」





見つめ合って、それからお互い微笑んだ。









キッチンの扉の外では、
サンジが入るに入れずに野菜を抱えたままで煙草をふかしていた。




2006/05/14 UP

ルフィ→ロビン。。。。
ものすごく途中で放り投げたくなりました。
進まない進まない・・・・。
どうにか終わらせた。
あぁ、締めの5月なのにぃーー。

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