おまけ話。
2月のある日。
何だか皆の気配がおかしい。
何だろう?
いつもどおりなんだけど、いつもと違う。
ゾロがロビンを見る目とか、
ナミがロビンとゾロを見る目とか。
何だか前と違う。
何でみんな何も言わないんだろう。
おれだって子供じゃないよ。
何となくは解る。
3月のある日。
サンジとロビンが夜中にキッチンで話してるのが聞こえて、
何だか色々と、はっきり分かってしまった。
ゾロとナミのことはずっと前から知ってたことだけど、
ロビンの気持ちとか、サンジの気持ちとか。
こんな風に皆が何だか辛い気持ちでいるのに、どうして好きになっちゃうんだろうな。
みんなずっと仲良く、オスだとかメスだとかそういうのを抜きにして旅していけたらいいのに。
こう考えるおれは、まだ子供なのかな。
4月のある日。
ウソップに相談してみた。
ロビンが哀しむんじゃないかとか、サンジが告白すればいいのにとか。
ナミに相談してみようかとか、ゾロにはっきりさせてもらおうとか。
そんな簡単にはいかねぇよ、と素っ気無く返された。
いつもならもっと向き合って答えてくれるのに、ずっと顔を背けたままだった。
いつもならホラ話に突入したりするのに、そのまま無言だった。
やっぱりおれはまだ子供だ。
ウソップの気持ちに気付いてあげられなかった。
5月のある日。
また、皆の気配が変わった。
何だか、すっきりしてる。
何がどうなったんだろう?
ゾロとナミはいつものように一緒にいる。
てことは、ロビンはフラれちゃったのか?
でも笑ってる。
よかった、ロビンが泣いてるトコなんか、見たくないもんな。
皆も笑ってる。
前みたいに、皆で笑ってる。
ナミとロビンは何か楽しそうに話しながら、町に入って行った。
ゾロとサンジも、船の上で隣合って何か話してる。
ルフィとウソップは、いつの間にか競争みたいになって町に向かって走っていく。
置いてくぞー、とウソップが振り返って叫ぶ。
早く来いよチョッパー、腹減った! とルフィが後ろ向きで走りながら言う。
こけちゃうわよ! とナミが後ろの方で叫んでいるのが聞こえる。
盗み食いすんなよー、とナミたちに追いついたサンジが言う。
お小遣い足りなくなりそうね、とロビンが笑っている。
待ってくれよー!と叫びながらチラリと振り返ると、
船首のメリーの横で、ゾロがおれたちを見送っていた。
ブンブンと手を振ると、少し笑ったような顔で軽く手を振り返してくれた。
おれ、この船が好きだよ。
皆が好きだよ。
だからずっと、皆で旅して行こうな。
2006/05/31 UP
おまけのチョパ話。
巡
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